建築積算と建物鑑定 その1
不動産鑑定士で創価大学法学部の教員の松田佳久です。実は、2025年3月に建築積算士に合格しました。一級建築士を持っていたために2次試験から受験しました。受験した理由は、建築積算の知識が不動産鑑定士の建物鑑定に使えるのでは […]
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不動産鑑定士で創価大学法学部の教員の松田佳久です。今回は「道路」についてみていきたいと思います。
道路法4条に「私権の制限」とあり、「道路を構成する敷地、支壁その他の物件については、私権を行使することができない」と規定されています。国道や都道府県道などの土地の中に私有地が入っていることをよく見かけます。登記記録を見ても甲区の所有者欄には、たとえば国道であっても国の所有ではなく、私人が登記されていることがあります。道路法4条ただし書きでは国道として利用されているその私有地の「所有権を移転し、又は抵当権を設定し、若しくは移転すること」ができるとあります。そうはいっても、国道としての制限がありますので、一般私有地として所有者の自由な使用収益はできません(道路法4条本文)。ですから、当該私有地は、相続などで被相続人から相続人に所有権は移転できますが、銀行から融資を受けて抵当権を設定するための担保としての価値はありません。
また、国道と私有地との境界が確定されていない場合には、私人としての所有物の財産管理を徹底するためにも境界確定をする必要があるかもしれません。
[1] 宮崎裕二『新版<Q&A>重要裁判例にみる私道と通行権の法律トラブル解決法』48-49頁(プログレス、2025年)を参考にした。
国有財産法31条の2では、「他人の土地への立入り」とあり、その1項では「各省各庁の長は、その所管に属する国有財産の調査又は測量を行うためやむを得ない必要があるときは、その所属の職員を他人の占有する土地に立ち入らせることができる」とあります。よって、境界確定のためには、担当省庁の職員が当該官庁の長の使命を受けて、私人の所有地に立ち入りをし、測量等を行うことになります。そのときには、2項で、「各省各庁の長は、前項の規定によりその職員を他人の占有する土地に立ち入らせようとするときは、あらかじめその占有者にその旨を通知しなければならない」とあり、私人に対し通知がなされます。しかし、私人が行方不明等、所在不明の場合には、その通知は、(官報等の)公告をもつてこれに代えることができる」とされています。
なお、調査・測量等を行うにあたり、国有財産(国道)との境界が不明のため国有財産の管理に支障が生ずる場合には、「隣接地の所有者に対し、立会場所、期日その他必要な事項を通知して、境界を確定するための協議を求めることができる」(国有財産法31条の3第1項)とされており、私有地の所有者は要請があると立ち会う必要が生じ、立ち会ったうえで、境界線等について協議をすることになります。協議が整わないと、同条4項に「第1項の協議が調わない場合には、境界を確定するためにいかなる行政上の処分も行われてはならない」とあり、国は、国道として指定するなどの処分ができなくなってしまいます。その場合、国から境界確定の訴訟が提起される可能性があります。私有地の所有者は立会要請に応じないことができますが、その場合は、その所有者に正当な理由があって、立ち会えない旨の事前の通知が担当省庁の長へなされた場合を除き、「各省各庁の長は、前条第1項の規定により協議を求めた隣接地の所有者が立ち会わないため協議することができないときは、当該隣接地の所在する市町村の職員の立会いを求めて、境界を定めるための調査を行うもの」(同法31条の4第1項本文)とあり、私有地の所在する市町村の職員が立ち会って、境界が定められることになります。これによって確定した境界については、官報等に公告がなされますが、私有地の所有者は、公告のあった日から起算して60日以内に、理由を付して、担当省庁の長に対し、その定めた境界に同意しない旨を通告することができます(同法31条の5第1項)。この通告をしないと、同意があったものとみなされます(同法同条2項)。 通告をしますと、境界は確定しなかったものとなり、国から境界確定の訴訟が提起されることになるでしょう。
[1] 宮﨑・前掲注(1)48-49頁。
自分の所有地が国道などの公道の一部になっていてその部分が分筆されていない場合は、公道部分につき、固定資産税・都市計画税を非課税とするために分筆をしておくのが良いと思われます。
非課税となる一般的な基準としては、通り抜けが可能であること(両端が公道に接していること)、不特定多数の通行であることなどがありますが、それらに該当すると、土地の所在する市区町村の税務担当部署の窓口やWEBサイトで入手した「固定資産税・都市計画税非課税申告書」、案内図・位置図(道路の場所がわかる図面)、公図、地積測量図、実測図などの道路の面積のわかる図面、その他写真など市町村長が必要と認める書類などを揃えます。そして、土地の所在する市区町村の税務担当部署に提出します(提出期限は毎年1月31日)。
課税担当職員が実地調査をしますが、判断基準時点は1月1日です。 なお、かならず分筆が必要かといえばそうではなく、未分筆でも上記基準に該当し、「非課税申告」をしますと非課税になります。また、「地目」を「公衆用道路」に変更すれば自動的に非課税となる場合が多いようです。その方法であれば、手続きが簡素化されることになります。分筆しない場合でも道路部分の面積を実測図や配置図できちんと証明すれば道路部分の正確な面積が非課税になります。
以上、自己の所有地に公道がある場合についてみてきましたが、公道とは国道、都道府県道、市区町村道といった道路だけではなく、私道も含まれるものと考えられています。最高裁判所の判決はありませんが、民法210条の隣地通行権における公道についてですが、東京高等裁判所昭和29年3月25日判決(下級裁判所民事裁判例集5巻3号75頁)は、「必ずしも公道のみを指すものとは限らず、公衆が自由に通行し得るようになっている道路であればすべて該当すると解すべき」と判示しており、高松高等裁判所昭和32年6月8日判決(下級裁判所民事裁判例集8巻6号1080頁)も、「公路も亦私道を含むものと解せられている」とし、さらに、刑法124条1項(往来妨害及び同致死傷)「陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、二年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する」における「陸路」とは、「私道として一般交通の用に供せられる間は広義の道路であって事実上公共性を有するが故に(略)・・・私道も含むと解せられる」としています。
ですので、位置指定道路(建築基準法42条1項5号)などといった私道であれば「一般交通の用に供せられる」ものであり、公道に該当するものと考えられます。
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