「タワマン節税」と不動産鑑定
不動産鑑定士で創価大学法学部の教員の松田佳久です。今回は「タワマン節税」を否定した有名な最高裁裁判所令和4年4月19日判決(最高裁判所民事判例集76巻4号411頁搭載)(以下、本判決といいます)と不動産鑑定評価につい […]
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鑑定や評価業務の現場で得られた知見、専門家の視点、実務に役立つヒントなどを、コラム形式でわかりやすくお届けします。
不動産鑑定士で創価大学法学部の教員の松田佳久です。実は、2025年3月に建築積算士に合格しました。一級建築士を持っていたために2次試験から受験しました。受験した理由は、建築積算の知識が不動産鑑定士の建物鑑定に使えるのではないかと考えたからです。建築積算という業務にはプロが大勢おり、ほとんどが会社組織を持ち、積算ソフトなどを駆使して積算業務を実施しています。建築積算は建築数量積算基準に則って各工事科目等の数量を算出し、それを実施した積算会社が把握している(会社内部で使用している)単価を乗じて工事価格を出しています。分厚い建築図面から、建築数量積算基準に基づいて数量を把握するのですが、かなりの時間がかかります。また、単価も工事科目の工事ごとにひとつひとつ「積算ポケット手帳」などを使って算出しておく必要があり、現実的ではありません。結論としますと、不動産鑑定士が、類似の建築事例と比較して建物鑑定を行っていますが、それが現実的な評価方法だと思われます。
ただし、実施した建築積算の数量をチェックするために利用されているチェックリストがあり、それを利用することにより、各工事の概略の数量を出すことができますので、それを利用して鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の再調達原価を算出することができるかもしれません。今回のコラムから、そのチェックリストを紹介していきたいと思います。
例えば鉄筋コンクリートには、次の工事科目があります。
直接仮設工事、土工事、地業工事、コンクリート工事、鉄筋工事、鉄骨工事、防水工事、タイル工事、金属工事、左官工事、内外装工事、金属製建具工事、ガラス工事、塗装工事など。
直接仮設工事は、建設現場で建物を安全かつ正確に施工するために必要な一時的な設備や作業を指します。工事完了後には撤去されますが、建物本体の施工に密接に関わるため、直接工事費に含まれます。
直接仮設には、
(1)水盛り・遣り方:建物の正確な位置や高さを決める作業で、基準となる地面の高さを設定し、杭や板材で基準線を作ります。
チェック項目は、水盛り・遣り方の面積(㎡)≧建築面積、ですので、建築面積を水盛り・遣り方の数量(面積)として使うのが良いと思います。
(2)墨出し・原寸型板:墨出しは、建築や土木工事において、設計図面に示された寸法や位置を現場に正確にマーキングする作業です。これにより、施工の際に必要な高さや位置を明示し、作業員が図面を確認せずに作業を進めることができるようになります。原寸型板は、設計図面の内容を実際のサイズで現場に示すための板です。これにより、施工の際に必要な情報を視覚的に把握することができ、施工の精度を向上させることができます。
墨出し・原寸型板(㎡)=延べ床面積
(3)外部足場:建物の外周に設置される仮設の作業床や通路で、高所作業を安全かつ効率的に行うための構造物です。
外部足場面積
≒延べ床面積×外壁(開口共)面積係数1.1~1.4×(0.4×建物の周長÷建築面積+1.01)
(4)登り桟橋:足場に設けられるスロープ状の昇降用仮設通路で、作業員が高所に安全に上り下りするために使用されます。
登り桟橋長さ(m)=建物高さ×2×か所数
(5)内部足場:建物の屋内空間で天井や壁、階段などの高所作業を行う際に組み立てられる仮設構台を指します。
内部足場面積(㎡)≦延べ床面積 ここでは延べ床面積を同じと捉えて計算してもよいと思います。
(6)養生:施工済みの躯体や仕上げ材を保護するシートやボードをいいます。
養生(㎡)=延べ床面積
(7)整理清掃:作業中および完成後の屋内整理清掃です。
整理清掃(㎡)=延べ床面積
(8)後片付け:建設工事において設置された仮設物を撤去し、現場を整理整頓する作業を指します。
後片付け(㎡)=延べ床面積
土工事とは、建物の荷重を安全に地盤に伝えるための基礎条件を整える工程で、建物の安全性や耐久性の出発点となります。土地を掘削して所定の深さまで下げたり、土を盛り上げて高さを調整したり、掘った部分を埋め戻す作業、表面を平らに整える整地作業などが含まれます。これらの作業により、基礎を据え付けられる支持地盤を造成します。
(1)根切り(総掘、山留め): 総掘とは、建物の基礎工事をする際に、建物の区画全体を同じ深さまで掘ることをいい、山留めとは、建築工事で地盤を掘削する際に周囲の土砂の崩壊を防ぎ、工事の安全を確保することをいいます。
根切り(総掘、山留め)(㎥)
≒1階床面積×最大根切り深さ×(1+1.2×建物の周長÷建築面積)
(2)根切り(オープンカット):建物の基礎を作るために、地面をすり鉢状に広く掘り下げていく工法です。
根切り(オープンカット)(㎥)
≒1階床面積×最大根切り深さ×(1+W×建物の周長÷建築面積)
W:0.15・H+0.6(m) H>2.0mの場合 H:根切り深さ
(3)根切り(つぼ、布堀):つぼ堀とは、建物の基礎部分のみを点状に掘削する工法で、布堀とは、建物の基礎を作るために、壁や土台の下に沿って細長く溝状に掘る施工方法をいいます。
根切り(つぼ、布堀)(㎥)≒1階床面積×最大根切り深さ×根切り係数(a)
根切り係数:①根切り深さが1.5m未満の場合は0
②根切り深さが1.5m以上5.0m未満は0.3を標準
③根切り深さが5.0m以上は0.6を標準
以上、このテーマに関する次のコラムは、土工事の埋戻しから入ります。
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