共有物の利用の円滑化に関する民法改正について(令和5年改正民法その1)
創価大学法学部で専任教員として民法を担当しています不動産鑑定士の松田です。今回は、所有者不明土地等について見ていきます。 担保評価等の不動産鑑定評価を行うにあたり、共有土地であるけれども共有者の一人が行方不明であると […]
Column
鑑定や評価業務の現場で得られた知見、専門家の視点、実務に役立つヒントなどを、コラム形式でわかりやすくお届けします。
不動産鑑定士で創価大学法学部の教員の松田佳久です。今回は4月のコラムの続きです。ですから、PART2ということになります。
この論点については最高裁の判決はありません。そこで地裁の裁判例を見てみます。
牛乳搾取の目的で賃借した土地の一部に住宅を建てた事案で、住宅の敷地部分については、借地人は借地権を主張できるが、それ以外の部分については借地権は及ばない、とされています。
これは、鴨川フィシャリーナ(クラブハウス、駐車場、修理ヤード、ボート係留場など)の事案です。傍論ではありますが、「建物所有を目的としない部分がある可能性は否定できないものの、少なくとも本件建物の敷地とみられる部分は建物所有を目的としているといえる」とされています。
以上、2つの裁判例しか見つけることができませんでした。裁判例1は当初の地主に対する事案です。その地主に対して借地権の主張できる範囲を示しています。借地人と地主は当事者の関係であり、対抗関係ではありません。よって、ここで判断された借地権の及ぶ範囲は「借地権の効力の及ぶ範囲」であって「借地権の対抗力の及ぶ範囲」ではありません。しかし、一般的には、「住宅の敷地部分」については、第三者に対しても主張できる、つまり、借地権の対抗力の及ぶ範囲と捉えても良いものと思います。
裁判例2は、底地を買い受けた新地主、つまり第三者に対する事案です。その第三者に対して借地権を主張できる範囲を示しています。ここでも「本件建物の敷地とみられる部分は建物所有を目的としているといえる」と判断していますので、やはり、「建物の敷地」部分は借地権の対抗力の及ぶ範囲だと捉えても良いのだと思います。
しかし、論点の大規模店舗について考えますと、問題は、建物の敷地とは何を意味しているかです。建築基準法で言えば、敷地とは、建蔽率・容積率の制限を示す割合(%)を乗ずる分母となる土地部分を言います。そして、建物所有目的を達するために欠かせない部分である必要があります。そう考えますと、論点の大規模店舗については、まず、建築面積を指定建蔽率で割り戻した土地面積部分と、店舗として機能するために必要な駐車場部分も含むということになるのではないでしょうか。ですから、広大な駐車場の全部ではなく、必要な部分(例えば1週間の平均駐車台数に匹敵する駐車場部分)に限定して対抗力が認められると考えるということになるのではと思います。
この論点については、ぴったりとした裁判例はありませんでしたが、1つだけ以下の参考となる裁判例がありました。
借地人は権利金(30万円)を支払っているも、地主が買い取る借地権価格(裁判官が決定した建物付き借地権価格:440万円、鑑定委員会 借地権割合65%⇒431万5,246円+建物価格101万200円-名義書換料43万1,524円=489万3,922円)の判断において、権利金は一切考慮されていませんでした。
<一般的な考え方>
この論点については、一般的に以下の考え方があるものと思われます。権利金額は、借地権価額あるいは借地権価額の一部を占める。そして、権利金額が高い場合は地代が低く設定され、権利金額が低い場合は地代が高く設定される。
<法人税法上の考え方>
昭和49年1月25日 国税不服審判所裁決 LEX/DB26005800:相当地代よりも低い地代を支払っていた土地の借地権価格につき、
当時(昭和49年当時)の法人税基本通達13-1-3の算式
〔土地の更地価額-(土地の更地価額-通常収受すべき権利金等)〕×年間地代÷(底地価額×8%)
この算式は、通常収受すべき権利金等額相当額が借地権価額相当額であり、その場合、底地価額の8%が適正地代であり、それを下回る年間地代だと、借地権価額はその割合分減価する、というものです。
現在の法人税基本通達13-1-3
借地権評価額=土地の更地価格×(1-実際地代の年額/相当地代の年額)
*相当地代の年額=更地価額×6%
なお、「通常収受すべき権利金の額=土地の更地価額×借地権割合」を超える場合は、通常収受すべき額が上限となります。
この算式は、実際地代が相当地代よりも低い場合にその差額割合分を更地価格に乗じたものが借地権評価額であるというものですが、権利金の授受がある場合、権利金額を借地権価額として計上することとなります。
<私見>
以上からしますと、権利金の授受があっても、権利金の金額は借地権相当額だとして考えるため、実務においては、権利金について特段の処理はしないのではないか、と思われます。
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