共有物の利用の円滑化に関する民法改正について(令和5年改正民法その1)
創価大学法学部で専任教員として民法を担当しています不動産鑑定士の松田です。今回は、所有者不明土地等について見ていきます。 担保評価等の不動産鑑定評価を行うにあたり、共有土地であるけれども共有者の一人が行方不明であると […]
Column
鑑定や評価業務の現場で得られた知見、専門家の視点、実務に役立つヒントなどを、コラム形式でわかりやすくお届けします。
不動産鑑定士で創価大学法学部の教員の松田佳久です。今回はサブリースとサブサブリース関連の2回目です。前回は主にサブリースについて見てきました。今回はサブリース業者が一括借入れをする場合の賃料の鑑定評価について見ていきます。
前掲最一小判平成15年10月23日の差戻控訴審であります東京高判平成16年12月22日判例タイムズ1170号122頁は、サブリース業者の一括借入れの家賃額の決定にあたり、周辺家賃水準の下落率をそのまま適用するのではなく、賃貸人の公租公課の負担、銀行借入れの金利負担の減少、家賃保証特約の存在、保証家賃額が決定された事情、当事者間の交渉経緯などのサブリース契約締結前事情等も十分に勘案して、決定していました。
一方、不動産鑑定評価基準は、サブリースに関する一連の最高裁判決の判断を反映すべく、「建物及びその敷地の継続賃料を求める場合の鑑定評価」では宅地の継続賃料を求める場合の鑑定評価に準ずるものとし、次のように変更されて現在に至っています。
「差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定するものとする。この場合においては、直近合意時点から価格時点までの期間を中心に、次に掲げる事項を総合的に勘案するものとする。
これに対し、一連の最高裁判決をよりよく反映させるためには、次の事項を総合的勘案事項として挙げる必要があります。以下の事情はいわゆる契約締結前事情ということになります。
それでは、裁判例における鑑定評価を見てみましょう。
差額配分法の適用に当たり、新規賃料を算出する際において、積算賃料と比準賃料を算出し、それらを関連付けて、エンド賃料を年額8,096万1,132円(月額646万4,419円)を算出し、これにサブリース業者の一括借入賃料額のエンドの新規実質賃料に対する割合は80%であるとして、年額6,475万2,433円(月額539万6,036円)と算出しています(継続賃料決定にあっては、この差額配分法とスライド法を関連付けて決定しています)。
なお、サブリース業者の一括借入賃料額のエンドの新規実質賃料に対する割合80%の根拠は、空室率10%、サブリース業者の利益5%、経費5%で、計20%を控除したものです。
差額配分法による賃料と比準賃料の算出を断念しています。それは、差額配分法における新規賃料算出において、サブリース業者の一括借入賃料額のエンドの新規実質賃料に対する割合を求めることは、サブリース契約に基づく正常実質賃料の査定が困難であったことによるとしています。
また、規範性、類似性(不動産の類型、契約内容、契約改訂の経緯等)の高い賃貸事例の収集が困難であるため、比準賃料を求めることはできないとしています。
比準賃料については(1)の割合方式を適用している事案にあっても、求めてはいません。理由は記載されていませんが、おそらく規範性、類似性の高い賃貸事例の収集ができなかったからだと思われます。
サブリース業者の一括借上賃料額の継続賃料の算出においては、ここに取り上げた事案以外にもあるかもしれません。その点はもう少し多くの裁判例を見てみないといけませんので、今後の課題としたいと思います。
次回は、サブサブリースを取り上げます。
Contact
不動産鑑定・調査・動産評価に関するご相談は
こちらからお気軽にお問い合わせください。
Contact
不動産鑑定・調査・動産評価に関するご相談は
こちらからお気軽にお問い合わせください。