不足する信用余力の補完策 -機械設備の時価評価について-
金融機関においては、既存の取引先について、すでに融資可能な最大限まで融資している場合が多く、不動産担保以外に不足する信用余力の補完策を見いだせていないのが現状です。このようななかで、既存の取引先を改めて評価し、従来では […]
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鑑定や評価業務の現場で得られた知見、専門家の視点、実務に役立つヒントなどを、コラム形式でわかりやすくお届けします。
今回は、機械設備の評価ではなく、棚卸資産である商品在庫の時価評価について紹介します。
本件動産評価の依頼者は、ライセンス契約に基づきライセンサーより使用許諾されたキャラクターのグッズをデザイン・開発し、海外生産した商品を輸入して小売店に販売する卸売業を営まれています。一般的に、在庫は「商品」や「原材料」、「仕掛品」、「完成品」等に分類されますが、依頼者は製造等を行っていないため原材料や仕掛品等もなく、評価対象は「商品」のみで、在庫点数は15万点にのぼりました。



ここで、在庫評価における「価値の定義」は、求めるべき価値に応じて大別できます。今回の動産評価では、当社が提出する動産評価書を様々なケースに利用したいという依頼者からのご意向でしたので、本件では「公正市場価値FMV」、「任意清算価値OLV」、「強制清算価値FLV」のそれぞれの価値を求めました。
※「価値の定義」の詳細は、同コラムの「動産評価の用語集」を参照ください。
一方、在庫の評価方針では、在庫の「実在性」を確認することが前提となります。つまり、在庫資産は絶えず入と出を繰り返しており、流動性が高い資産であるからこそ、その実在性の確認が重要なポイントです。在庫資産の実在性を確認できてから、ようやく在庫のコンディションや性質を正しく把握する評価工程に移ることができ、時価評価が可能となるのです。仮に、実在性のない在庫までも評価対象に加えてしまえば、在庫資産としての正しい時価が算定できませんので、評価人としての信義が問われることとなります。
そのため、在庫評価の工程として、倉庫等の現地への実地調査が必須となります。これまでの経験や社内評価人からの伝聞によると、商品コードが整理されていなかったり、広範囲に在庫資産が分散されていたり、複雑な流通経路となっていたりと、実在確認には大変な根気と労力を必要とするケースがあったとのこと。幸いにも、本件評価対象の在庫商品は、全ての入出庫を自社管理する倉庫1箇所に集約。その上で厳重かつ精緻な入出庫管理が行き届いていたため、実地調査は比較的容易に終えることができました。

次のステップとして、現地実査等で在庫実態を把握した後、対象在庫をカテゴリーやグループごとに分類し、販売および製造等の流路・プロセスや回転率の優劣を確認します。それら情報をまとめ各カテゴリーの市場性を検討することにより時価を算定していきます。

本件の在庫商品では、ライセンス契約により契約満了後における商品の取扱いが厳しく制限されるため、セルオフ期間を過ぎた商品を販売不可とする契約の在庫商品は、価値ゼロとして評価しました。
今回のブランド雑貨評価により、私自身の在庫評価実績を、また一歩積み上げることができました。今までに製造業の在庫評価として、機械設備の原材料や仕掛品等の評価も経験しておりましたが、今回は外国語のライセンス契約書も確認できるなど非常に良い経験を得られました。また、三友グループの事業性評価研究所では、コメなどの農産物や牛や豚などの生き物の在庫評価を多数実施しておりますので、今後はそういった分野での在庫評価にも携わっていきたいです。
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