不足する信用余力の補完策 -機械設備の時価評価について-
金融機関においては、既存の取引先について、すでに融資可能な最大限まで融資している場合が多く、不動産担保以外に不足する信用余力の補完策を見いだせていないのが現状です。このようななかで、既存の取引先を改めて評価し、従来では […]
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鑑定や評価業務の現場で得られた知見、専門家の視点、実務に役立つヒントなどを、コラム形式でわかりやすくお届けします。
機械設備の評価は、資産の特性に応じて、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチによって行われます。その中でも搬入搬出が比較的容易なものや、汎用性のあるものは中古市場より取引事例が入手可能であるため、マーケットアプローチの採用を検討したいところです。
マーケットアプローチは、価値の決定にあたって同種同型の機械設備の最近の取引事例(売買価格、売出価格など)を分析することにより、最も可能性の高い売買価格の目安値を求める単純明快な手法です。ですが、同種同型の機械設備の取引事例を見つけること(直接照合)は難しいため、通常は、使用年数、状態、運転能力、型式、品目タイプ、資産の場所、などの項目から特に価格牽連性の高い特性に基づいた類似事例との比較(間接照合)を行います。
取引事例(市場データ)は、機械設備の製造会社、販売代理店、中古設備販売会社(対象に精通していることが必要)からのヒアリングにより、類似資産を含む最新の売買価格や売出価格、買い希望価格などを入手します。さまざまな理由により中古市場での取引価格には価格幅が生じますが、複数のヒアリング先からの情報に一致した見解が見つかれば情報の信頼度は高いと考えられます。これは不動産評価の際に行う市場参加者・地元精通者からの意見聴取と同じ方法です。
取引事例の直接照合だけでなく、汎用性のある機械設備の場合には、他機種や他メーカーからの間接照合も可能です。
多数の取引事例(市場データ)を得ることができれば、統計的な分析を用いて当該機械設備あるいは、特定ジャンルの中古市場の価格と、新規コストとの間に関係性(パーセント・オブ・コスト)を見い出すことができます。
例として、油圧ショベルやブルドーザーの取引事例を分析してみると売買価格は一定の傾向を示します。もちろん収集された情報だけでは、経過年数と実稼働時間(アワーメーター)の関連が明確でなく、使用環境やメンテナンスの状況、売買に至った経緯などの事情も個別さまざまであるため属性の分析は必要ですが、機械設備の特性に応じた分析により売買価格の傾向を捉えることができます。
今回は簡易な分析ですが、機械設備は税法上の法定耐用年数を超えて相当の期間経済的価値を持続することは明白であり、資産評価の必要性を実感することができたのではないでしょうか。
米国鑑定士協会 認定資産評価士 田井 政晴
※ 本コラムは「銀行法務21 No.815⁄ 2017年6月号」に寄稿したものを要約しご紹介したものです。
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