第八話
逆境が問いかけたもの
突然訪れた環境の変化

順調に成長を続けてきた三友でしたが、その歩みは決して一直線ではありませんでした。2008年のリーマンショックは、不動産市場を一気に冷え込ませ、金融機関を取り巻く経営環境も大きく変化させました。その影響は三友にも及び、依頼は急減し、これまで当たり前のように続いていた成長の流れは途切れました。
創業以来、顧客ニーズに応える新たな商品を次々と生み出し、時代の追い風も受けながら成長してきた三友にとって、初めて本格的に「環境の変化」と向き合う局面だったと言えます。
創業者・井上が繰り返し語っていた「茹でガエルになるな」という言葉が、現実のものとして突きつけられた瞬間でした。
見えない基盤が支えた組織
しかし、この逆境は単なる危機では終わりませんでした。上場準備の過程で整備されていた人事制度やガバナンス体制、コンプライアンスへの意識といった"見えにくい基盤"が、ここで真価を発揮します。経営環境が大きく変化しても組織として冷静に対応し、事業を立て直していくことができたのは、こうした基盤づくりを着実に積み重ねてきたからでした。逆境は、組織としての足腰を鍛え直し、環境変化に耐えうる企業へと変わる契機となったのです。
そしてこの時期、三友は「評価」の領域をさらに広げていきます。既に設立されていたタスは、不動産データを活用した情報サービスとして着実に存在感を高めていました。さらに2017年には事業性評価研究所が誕生し、不動産にとどまらない新たな評価領域への挑戦が始まります。事業の幅を広げることは、単なる多角化ではありませんでした。「評価」という強みを異なる分野へ展開し、新たな価値を生み出す挑戦でもあったのです。
自らの存在意義を問い直す
逆境の中で、三友は改めて問い直していました。
自分たちは何者なのか。何を社会に提供する存在なのか。
その答えは、「評価」という軸を持ちながらも、その対象や手法を進化させ続けることにありました。環境が変われば、お客様が求めるものも変わります。しかし、社会の課題を見つけ、その解決に必要な「価値」を見極めるという使命は変わりません。三友は、変化に適応するだけでなく、自ら変化を生み出す企業として、新たな歩みを始めていきました。(第九話へ続く)
