事例紹介

機械装置に対する公正市場価値~金属熱処理業の場合

案件概要

クライアント・部門 金属熱処理を行う事業会社
サービスメニュー 動産(機械装置)
業務内容

先日、金属熱処理を行う事業会社様より動産評価を受注し、動産(機械装置)の実査に行って参りました。今回は当社にとっては再評価にあたり、数年前の前回評価時から新設の機械や移動、廃棄の有無を重点的に行い、各機械装置の稼働状況や生産工程を再確認しました。

今回の動産評価では、資産譲渡に伴う売買価格の参考のため、対象となる機械設備、工具器具備品の機械装置に対する「公正市場価値<継続使用>(Fair Market Value-in continued use)」を求めます。ここで求める評価額には、当該資産を十分に運転可能とするための設置およびその他の組立コスト等、通常のあらゆる直接および間接コストが含まれます。

採用する手法に関しては、コストアプローチを適用します。というのも、今回の機械装置は、金属熱処理業を円滑に運営するための設備が配置された設備群のため、中古マーケットの想定も困難であり、資産全体を構成する個別資産ごとの売却も現実的ではない事から、マーケットアプローチは適用せず、また、本事業が生み出すと予想される将来キャッシュフローの把握及び対象資産への適切な配分も難しく、インカムアプローチの適用は困難です。

提出した動産評価の報告書にも記載しましたが、金属熱処理業は日本産業分類上の「金属熱処理業(2465)」に分類され、経済産業省工業統計資料によると全国の事業所数は567社(H21年)→505社(R2年)と減少傾向にある一方、出荷額は平成21年の223,641百万(H21年)→308,587百万円(R2年)に増加となっております。業績が堅調な業界にある事を伺え、こうした状況や対象工場での稼働実績等を踏まえ、コストアプローチにおける経済的後退による減額はないものと判断し、最終的な評価結果を求めています。

さんゆう資料室にて現地写真付き記事を紹介しています。

担当者後記

現地での実査では、まずは工場内に広がる機械動作音の大音量に圧倒され、案内担当者のお声がほとんど聞こえず、案内者にピッタリ付いてご説明を漏れなく聞くことに集中しました。また、高熱の焼入れ装置の近くで汗びっしょりで作業する姿を見て、日本の工業を下支える人々の存在がある事に改めて気付かされました。

今回の動産評価にあたり、スムーズに実査を進めるためには事前の調査と準備が重要だと感じました。また、公正な市場価値を算出するためには、幅広い知識と情報量が必要だと痛感しました。是非、次に携わる動産評価では、今回の反省点を踏まえて実務に取り組んで参ります。

案件担当部門

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